人と比べても意味がない、と思っていてもついつい比べてしまうのが人間。私も、ふとした拍子に他人と比べて自己嫌悪するという負のループにちょくちょく陥ります。
場合によっては比べることがきっかけで自分のためになるケースもありますが、基本的にはかなり心が疲れてしまう行為ですよね。
そこで、人と比べるのをやめたいときに自分の背中を押してくれるような言葉を座右の銘にするのはどうかと思いつき、調べてみました。
「四字熟語」と「ことわざ」の2種類にわけて、全部で16個の言葉をご紹介します。
四字熟語
吾唯知足(われただたるをしる)
<意味>
現状に満足できる人はたとえ貧しくても心が穏やかだが、現状に満足できない人はたとえ豊かな生活をしていても心が乱れている
京都の龍安寺というお寺にある蹲(つくばい=庭園に置かれた手水鉢)に、この文字が彫られているようです。直訳すると「私は満ち足りていることだけを知っている」。
「知足のものは貧しといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧し」という禅の格言を謎解き風に図案化したものである。
wikipedia
自分よりも豊かそうな生活をしている人を見て心乱されるのではなく、自分自身の今現在の生活や幸せに集中して、身の丈に合った幸せに満足しよう、といったニュアンスです。
もっともっと!誰よりも幸せになりたい!とばかり思っていると、いつまでも心が穏やかになりません。「身の程を知れ」ということですね。
明鏡止水(めいきょうしすい)
<意味>
一切の邪念がなく、澄み切って落ち着いた心のこと
人と比べてしまう、なんてことは邪念以外の何物でもありません。身の回りの出来事に心乱されることなく、落ち着いて自分が幸せになることだけを考えましょう。
類語:安心立命(あんじんりつめい・あんじんりつみょう・あんじんりゅうみょう)
脚下照顧(きゃっかしょうこ)
<意味>
足元に気をつけ、自己反省すべし
周囲よりも、自分自身の言動や過去のふるまいを見つめ直すべき。他人を羨んだり批判したりする前に、まず自分はどうなんだ?と自らに問いかけることから始めてみるとよいかもしれません。
雲壌月鼈(うんじょうげつべつ)
<意味>
両者があまりにも大きく異なっていること
雲壌⇒天地。月鼈⇒月とすっぽん。どちらも全く違うものを表しています。
住んでいる世界が違うのだから比べても意味がないと思わせてくれる言葉です。
一意専進(いちいせんしん)
<意味>
ひとつのことに対し、ひたすらに気持ちを集中させること
自分自身や何か熱中できることに気持ちを集中させることで、他人の存在や言動が気にならなくなります。
逆に言えば「暇なときほど周りが気になる」ということになりますね。
類語:廃寝忘食(はいしんぼうしょく)
高潔無比(こうけつむひ)
<意味>
ほかと比べられないほど、心が清らかで品がある
座右の銘として日々思い浮かべれば「私を誰かと比べるなんておこがましい」「比べるまでもなく私が一番!」といった気持ちになれる、自己肯定力を爆上げできる四字熟語です。
鉄心石腸(てっしんせきちょう)
<意味>
鉄や石のように堅い意志を持つこと
絶対に誰にも動かせないような強靭な心を持てば、何があっても動じない強メンタル人間になれます。
駑馬十駕(どばじゅうが)
<意味>
才能がなくとも、努力次第で才能のある人に追いつくことができる
元々の意味は、「走りの遅い馬でも10日走れば優れている馬の1日分と同程度は走れる」といったもの。才能のある人を羨んでしまう人におすすめの四字熟語です。
努力を重ねれば才能にも負けないくらいの力をつけることができるので、比べて悔しがる前に努力してみましょう。
類語:跛鼈千里(はべつせんり)
無欲恬淡(むよくてんたん)
<意味>
物事に執着せず、欲のない様子
つい人と比べてしまう背景には、相手よりも上でいたい、負けたくないという思いが少なからずあると思います。その思いもいわば欲の一つ。
相手に執着せず、来るもの拒まず去るもの追わず、くらいの心持ちでいるのが楽ではないでしょうか。
独立独歩(どくりつどっぽ)
<意味>
他人に頼らず、自分の力だけで物事を実行する
基準にすべきなのは、「誰か」ではなく「自分」。自分がやりたいことをやり、信じる道を突き進むことで何かしらの成果もついてきます。
他人なんてどうでもいい、という境地になるはずです。
明朗闊達(めいろうかったつ)
<意味>
明るく朗らかで、小さなことにこだわらない大きな心を持つ
人と比べてしまうときって、どんよりしたネガティブな気分になっていることが多いように思います。そんなときはこの言葉を思い出して、汚い思考は切り離し楽しいことだけを考えてみましょう。
ことわざ
頭の上の蝿を追え
<意味>
他人の批判をしたり世話を焼いたりする前に、まずは自分自身の問題にきちんと向き合って始末しよう
他人の言動が気になりイライラしてしまう人にぴったりの言葉。人の粗探しをしている暇があるなら、自分自身の悩みを解決したり、振る舞いを見直すべきです。
隣の芝生は青い
<意味>
自分の物よりも他人の物のほうが良く見える
同じようなものを持っていたとしても、他人が持っているもののほうがなぜか良く見えてしまう不思議な現象があります。たとえ持っているものを交換したとしても、それはそれでまた相手が持っているもの(元は自分が持っていたもの)が良く見えてしまったりするでしょう。
つまりそういうものなので、他人の持ち物やステータスを気にするだけムダってことです。
足るを知る者は富む
<意味>
分相応で満足できる人は、心が豊かである
吾唯知足と同じようなニュアンスの言葉です。
自分にとって分相応のところで満足すべきであり、どこまでも欲深い人間は幸せにはなれません。
自分よりも優れた才能や能力を持つ人が羨ましくなってしまうときは、そもそも住む世界が違うと思いましょう。自分は自分に見合ったステージで輝くことを考えましょう。
人は人我は我
<意味>
他人がどうであろうと気にせず、自分の欲することに従って行動すべし
いわゆる「よそはよそ、うちはうち」。子供に我慢させるためによく使われるイメージが強いですが、実はポジティブな意味です。
よそを気にしてばかりだと自分自身がおろそかになってしまうので、「よそはよそ!」と無理矢理思考から排除することもときには必要です。
浮世は回り持ち
<意味>
この世の貧富や幸不幸は絶えず人から人へ巡るものであり、一箇所にとどまらない
自分が今どん底にいて、キラキラ見える周りが羨ましかったとしても、ずっとどん底なわけではないし這い上がれるときはいつか絶対に来ます。それを信じることで日々のモチベーションアップにもつながります。
座右の銘を持てばなりたい自分に近づけるかも
人と比べてしまうときに思い出したい四字熟語・ことわざ16選をご紹介しました。
個人的に響いたのは、「吾唯知足」と「人は人我は我」です。自分が感じられる幸せにきちんと集中して、なおかつ、他人は他人であり自分には関係ないと開き直ることで、より生きやすい日常になるんじゃないかなと思わされました。
つい人と比べてしまって苦しい、自己嫌悪…という人は、座右の銘を持ってみるのもおすすめです。